関東の人気城跡、五選(第一弾)

石垣山一夜城の石垣

関東の城跡のなかで「日本100名城」「続日本100名城」に選定されている五か所を紹介

石垣山一夜城(神奈川県小田原市)〈続日本100名城〉

JR早川駅から徒歩50分。石垣山(笠懸山)の頂上に位置しています。
豊臣秀吉が小田原北条氏を総勢15万の大軍で包囲し、その本陣としてここに石垣の城を築きました。
北条方を目くらましで城を一夜で築いたように見せかけたため”一夜城”と呼ばれることに。
実際はのべ4万人を動員して約80日間が費やされました。

関東で初めての総石垣の城。石垣は野面(のづら)積みといわれる積み方です。

※野面(のずら)積み・・・石垣の積み方。加工されていない自然石を積み上げ、石同士の隙間には小石を詰める。

城内に造られた井戸も石積みです。幾たびの地震にも耐え当時の面影がよく残されており、国指定史跡に指定。

本廓は一夜城の最高地にあります。この付近の石垣は大部分が崩れてしまいました。

本丸跡からは駿河湾や小田原市内が一望できます。

本佐倉城(千葉県佐倉市) 〈続日本100名城〉

京成大佐倉駅より徒歩10分。下総守護 千葉氏後期の本拠地となった戦国時代の城。土塁や空堀がほぼ完全な状態で残っています。
佐倉市と酒々井町にまたがる将門山台地上に築城され、城域は東西700m、南北800mにも及びます。「国指定史跡」に指定。

北、東、南の三方向は湿地帯で囲まれ、西側のみが台地と繋がっていました。その西側にも大きな空堀が取り巻き、外敵の侵入を阻んだ堅固な縄張りです。
本佐倉城跡で最大の空堀は高低差が16mもあります。

本佐倉城跡 最大の空堀

千葉氏の家紋が刻みこまれた矢盾。この演出いいですね。

杉山城(埼玉県東松山市) 〈続日本100名城〉

東武東上線武蔵嵐山駅から徒歩40分。杉山城は戦国時代の山城で丘陵の高低差を巧みに利用。高度な築城技術から「縄張りの最高傑作」「築城の教科書」といわれています。

丘陵の尾根上には10の廓(くるわ)を配置。各郭には様々な工夫がされて高い防御力を誇りっています。

本廓から3方向に廓を広げ、敵方から見通しを悪くするために屈曲を多用。廓の出入り口(虎口)には横から矢を射掛ける防御施設が設けらました。

空堀も見ごたえ十分。

平成20年に「比企城館跡群」として国指定史跡に指定。お城好きには人気のスポットです。

小机城(神奈川県横浜市) 〈続日本100名城〉

JR小机駅より徒歩10分。正確な築城年代は分かっていません。標高42mの平山城で現在は二つの廓とその間の細い廓のみが残されています。

本丸虎口跡に作られた模擬冠木門(かぶきもん)

ここのもう一つの見所が美しい竹林。隠れた竹林の名所です。
毎年春4~5月には「小机城址まつり」が行われ甲冑姿の武者行列は一見の価値があります。

八王子城(東京都八王子市) 〈日本100名城〉

JR高尾駅より徒歩45分。八王子城は北条氏の本城である小田原城の支城。標高445mの城山の頂上に本丸跡があります。
北条氏照が1571年頃に築城。豊臣秀吉の小田原征伐のおり上杉景勝等1万5千の軍勢に攻められて落城しました。
落城の際に城内にいた婦女子が自刃し「御主殿の滝」に身を投げ三日三晩滝が血に染まったという悲話が残っています。

「八王子城址ガイダンス施設」で周辺地図を入手。ここには八王子城に関する資料も展示されています。

復元された曳橋と御主殿石垣。石段を上ると虎口です。
御主殿跡は城主北条氏照の居館があった所。平成4~5年の発掘調査で建物の礎石や石敷き通路などが発掘・復元されました。 各所に分かりやすく案内板が設置されています。

城山頂上の本丸跡までは急な山道を20分程登ります。登山道には「新道」と「旧道」があり柵門跡(8合目)で合流します。新道の方が整備されているので歩きやすいです。

頂上にある本丸跡

登山道の途中には東京方面が一望できる場所が。この眺望を見るだけでも来た甲斐があります。

今回は第一回として以上の五つの城跡を紹介しました。関東にはまだまだ見ごたえある城跡がたくさんあります。また第二回目としてご紹介します。