桐生市「からくり人形芝居」と「ノコギリ屋根工場」

桐生 旧曽我織物工場

群馬県桐生市には日本で唯一「からくり人形芝居」の芝居館が常設されています。
”新町重要伝統的建造物群保存地区”にある有鄰館(桐生市本町2-6-30)の敷地内にあります。

有鄰館はかつて酒・味噌・醤油を醸造、保管していた「株式会社矢野」の蔵群。この蔵群は舞台・展示、コンサ-トなどのイベントに使用されています。

ビ-ル蔵だった倉庫を改修して芝居館がつくられました。見学は無料です。
開館日は毎月第一・第三土曜日、10:00~16:00。詳細の問い合わせ先は桐生観光交流課(0277-46-1111)です。

桐生の「からくり人形芝居」はかつて桐生天満宮の臨時大祭で上演されていました。
昭和36年を最後に臨時大祭が行われなくなり、からくり人形芝居の上演も休止状態に。
市内の蔵からからくり人形が発見されたことをきっかけに、保存会の皆さん方によって平成11年から定期的に上演されています。

桐生のからくり人形芝居は江戸時代初期に始まった”竹田出雲”のからくり人形芝居の系譜を引いています。


当日の演目は「曾谷兄弟夜討」、「助六由縁江戸桜」、「羽衣」の三演目です。(一演目の上演時間は約10分)
「曾谷兄弟夜討」は自動装置による上演ですが、他の二演目は保存会の皆さんの手動による上演です。

館内は撮影禁止のため詳細はお伝えできませんが、からくり人形が精巧な動きをします。
江戸情緒をたっぷりと味わうことができる伝統芸。保存会の方々の語り口が、観ている者を妖しい世界に引き込みます。
文化的価値の高いからくり人形芝居。是非、一度は観ておきたいですね。

臨時大祭が行われた「桐生天満宮」。江戸時代には徳川家の祈願所になりました。

社殿は県の重要文化財。社殿に施された彫刻装飾は名工・関口文治郎が手掛けました。
当時の華やかさは失われましたが、微細な部分まで彫り込まれた彫刻は一見の価値あり。

「新町重要伝統的建造物群保存地区」、文化財に指定された建物が立ち並びます。

桐生市内には多くの「ノコギリ屋根工場」があります。
主として紡績や織物関係の産地に多く見られます。桐生はかつて「西の西陣、東の桐生」と言われた織物の産地。
明治時期、紡績・織物に関する動力機械を導入することにより、工場内部に高さが求められ、採光にもすぐれたノコギリ屋根が多く採用されました。


見学施設「織物参考館”紫”(ゆかり)」(桐生市東4-2-24)。
元々は明治10年創業「森秀織物」の建物。入館料や開館時間などの詳細は公式HPで確認して下さい。

典型的な「ノコギリ屋根工場」で国登録有形文化財です。

明治・大正・昭和にかけての機械や資料を展示。「機織り」や「藍染」の体験ができます。(藍染体験は別途料金)

コンピュータジャガ-ドを使用した織物の作業風景。

「桐生織物記念館」(桐生市永楽町6-6)でも桐生織に関する資料等が見学できます。入館無料です。「開館時間=10:00~17:00、休館日=8月13~16日、12月29日~1月3日」

2Fが「資料展示室」になっています。この建物も国登録有形文化財です。

「ベ-カリーカフェ・レンガ」(桐生市東久方町1-1-55)
かつて織物工場だったレンガ造りのノコギリ屋根工場を改修した”パン屋さん”

文化財に指定された店内は広いスペ-ス。おいしいパンとドリンクでゆっくりするのもいいですね。桐生にきたら是非寄ってみたい場所の一つです。

桐生市内には他にも文化財に指定された建物が点在。それらの建物を訪ねながら市内を散策するのも楽しみです。