群馬県館林市は令和2年(里沼ー「祈り」「実り」「守り」の沼が磨き上げた館林の沼辺文化)のスト-リ-で日本遺産に認定されました。
館林市の里沼、3ケ所を巡ってみました。
【茂林寺沼(祈りの沼)】・・・里沼の原風景と信仰が共存
「茂林寺沼」は館林の南部に位置し、周囲約1kmの小さな沼です。
東武伊勢崎線「茂林寺前」駅から徒歩10分。
茂林寺沼の周辺は低地湿原となっていてコウホネ、ノウルシ、カキツバタなどの希少種の植物が自生しています。また小動物や野鳥の棲みかにもなっています。
すぐ近くには童話「分福茶釜(ぶんぷくちゃがま)」で知られる「茂林寺」があります。
茂林寺沼が祈りの沼と呼ばれる由縁となっています。
茅葺屋根の山門前には狸の像がずらっと並んでいます。この狸像は時折々、着物などで着飾られます。
茂林寺前駅までの道筋に分福茶釜のスト-リ-パネルが設置されています。
【城沼(守りの沼)】・・・館林城とつづじの名勝地を守る
城沼にはつづじの名勝地「つつじヶ岡公園」があります。
夏季には沼一面に美しいハスの花を咲かせ、遊覧船も運行されます。城沼は館林市観光の中心になっています。
東武伊勢崎線「館林」駅よりバスで11分。
館林城は徳川四天王のひとり”榊原康政”が城主を務め、城沼を要害として築いた城。城沼は永い間、館林の城下町を守ってきました。
周辺には「旧上毛モスリン事務所」「田山花袋旧宅」などの歴史的建造物や「向井千秋記念子ども科学館」が徒歩圏内にあります。
【多々良沼(実りの沼)】・・・沼の恵みが人々の暮らしを支えた
江戸時代になると多々良沼からの用水によって米と麦の二毛作が可能となり、館林が麦の産地となりました。
明治期になると製粉業が盛んになります。製粉大手「日清製粉」が起業した場所です。
東武伊勢崎線「多々良」駅より徒歩約20分。
沼を周回するように約5kmの遊歩道が整備されウォ-キングやジョギングが楽しめます。
多々良沼は漁労の場としても人々の生活を支えました。館林市周辺ではナマズや鯉を使用した独特の食文化を生みだしています。
突き出た小さな半島に位置する「浮島弁財天」
多々良沼は”白鳥の飛来地”としても知られています。
隣接する「ガバ沼」は小さい沼ですが白鳥が多く見られる場所。大勢の方が撮影に来られていました。
春には鶴生田川沿いの桜並木が美しく咲き誇り、「館林さくらまつり」が開催されます。
同時期の3月下旬から5月上旬に「こいのぼりの里まつり」も開催され、鶴生田川や近藤沼などの会場では4,000匹を超える”こいのぼり”が掲揚されます。
2004年には掲揚数5,283匹でギネス世界記録の認定を受けています。