埼玉県では「風布(ふうっぷ)」と「三富新田(さんとめしんでん)」2ヶ所が”日本の里百選”に選定されています。この2ヶ所を訪ねてみました。
「風布」
埼玉県寄居町に流れる風布川は釜伏山を源流とする清流。その川沿いには昔懐かしい里山風景が広がっています。
風布川の水源は「日本水(やまとみず)」と呼ばれ、子授けや不老長寿の霊水として広く知られています。日本名水百選に選定されてます。
秩父鉄道「波久礼(はぐれ)」駅から10分ほど歩くと風布川にかかる「夫婦滝」に到着。
高さ3mの小さな滝ですが、2筋の滝が寄り添うように隣あわせていることから夫婦滝と名付けられました。
(冬の夫婦滝)
滝から歩いて5分ほどに「風のみち」の入口があります。
風布川に沿うようにつくられた遊歩道。人気のハイキングコ-スです。鳥のさえずりと水の流れる音を聞きながら歩きます。
飛び石づたいに対岸に渡れるようなっています。
「姥宮神社」は狛犬の代わりに巨大な蛙の神使像が鎮座しています。この神社は何か蛙にゆかりがあるのでしょうか。
社殿裏にある「胎内くぐり」と書かれた巨石。ここの穴を潜ると疱瘡や麻疹に罹らないと言われています。
更に歩いていくと「風布館(レストハウス)」があります。ここでは食事やバ-ベキュ-が楽しめます。
塞神峠(さいじんとうげ)近くにある日本水湧出地点は現在、崩落の危険があるため立ち入り禁止。
風布館からつづら折りの坂道を40分歩いた道路沿いにある「日本水水飲み場」。ここで日本水”を汲むことができます。
風布川流域は日本最北端のみかん栽培地。いくつもの”みかん果樹園”があります。
シ-ズンには多くの観光客がみかん狩りに訪れます。
「三富新田(埼玉県指定旧跡)」
三富新田は所沢市(中富地区・下富地区)と三芳町(上富地区)にまたがる広大な地域。
この地は今から約310年前に川越藩主・柳沢吉保が新田開発に着手した場所です。
ここでは屋敷地ー耕地ー平地林が一体となった循環型農業を目指しました。 平地林の枯葉は耕地の肥料として活用。この農業方式が三富の特徴ある田園の景観をつくり出しました。
「三富今昔村」は三富新田を身近に感じられるように考えられたテ-マパ-ク。
東京ド-ム4個分の「くぬぎの森」では多くの草花や昆虫・小動物が観察できます。
東武東上線「ふじみ野」駅から無料送迎バスが運行されています。入場の際には入村料が必要。( 18歳以上の大人 =土・日・祝日800円、平日500円)
ここは地元の産廃事業者会社が運営されています。
営業時間など詳細は三富今昔村公式HPで確認して下さい。
くぬぎの森の「HANAテラス」。オ-ガニック野菜を使用したカフェ、薪の窯で焼き上げたピザのお店があり自然の中で食事が楽しめます。
家族連れに人気のミニSLも走っていました。
「三富今昔語りべ館」は江戸時代から昭和初期までの暮らしを紹介した資料館。
三富今昔村は派手なテ-マパ-クではありませんが、古き昔の生活を感じるには絶好の場所です。
三富開拓農民の菩提寺「多福寺」(三芳町上富1542)の山門は美しい楼門造り
「旧島田家住宅」(三芳町上富1279-3)は江戸時代に建築されたと考えられる茅葺屋根の古民家。
三富開拓300年の記念事業で三富新田の歴史を学ぶ場として移築復元されました。
東京近郊で「開拓村」の遺構が色濃く残っている三富地区は貴重な場所です。
今回ご紹介した2件の”日本の里”はあまり知られていません。東京近郊にもまだ日本の原風景が残されています。