「水の郷百選」浮野の里

浮野の里 田堀り

埼玉県加須市に位置する「浮野の里」。武蔵野の面影を残す農村地帯で、周辺には田堀りやクヌギ並木などの環境が保全されています。
平成7年に「水の郷百選」に選ばれています。

毎年6月の第二日曜日より一週間「あやめ祭り」が開催されます。
女船頭さんによる田舟遊覧は人気のイベントです。詳細は公式HPで確認して下さい。
東武東上線「加須」駅から徒歩45分。駅には市営のレンタサイクルがあるのでそちらの利用がお勧めです。

縄文時代には海であったと考えられ、波で削られた岸や谷に堆積物が積み重なりました。
その後、そこに利根川や荒川から水が流入。
現在、堆積物が体積した地層から地下水が湧き出ています。
台風による洪水の時、周辺が水没したにもかかわらず「浮野」の一部が浮上。
このことから洪水の時に浮く原野を「浮野」と呼んでいます。


低湿原の当地区では、土を掘り上げて水田を開発。その名残が「田堀り」です。水路のように残されています。

当時は稲の刈り取り時期まで水に浸かっていたので、舟によって稲の結束作業や運搬が行われていました。

洪水を防ぐために堤防を築き、土手の強化を目的にクヌギやコナラを植樹。それが今では美しい並木となっています。

浮野には、ノウルシやトキソウ、エゾミサハギなどの珍しい植物が自生しています。
特にノウルシは埼玉県の絶滅危惧種二類に指定されており、約1,000㎡の群生地があります。4月上旬には鮮やかな黄色の花を一面に咲かせます。
これらの植物は「浮野の里とその植物」として埼玉県の天然記念物に指定されています。

花菖蒲園では6月になると約3,000株のハナショウブが見頃に。

田堀りに佇んでいると、びっくりするほどの「メダカ」の大群が泳いでいます。
何十年ぶりかに見る”野生のメダカ”です。

浮野の里では貴重な湿地環境の保全のため毎年「ヨシ焼き」が行われています。焼け跡からヨシやノウルシが芽吹いてきます。2月の風物詩です。